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第四話 「神様、大丈夫? 大丈夫ならさ、早く立ち上がってくれないか」
エスコタが神様の顔を覗き込んでいる。
手を持ち上げてくれたおかげで、それなりに見易くはなった。 「久し振りだねぇ、神の顔を見るのって」
晃くんが目を細めて、司くんに話し掛けている。
一体何なのだ、この空間は。 「えー。あー、はい。大丈夫ですから」
神を睨むようにして見つめていると、ハッキリした声が頭の中に響いた。 「そうですか。安心しましたよ」
にこにこと笑っている梅玉。 「神よ、状況は理解しているか」
場が落ち着いたところで、司くんが尊大な態度で神に話し掛けた。 「はいはいはい。何となくで申し訳無いのですが、大体理解しています。悪魔のおふたりがこのお嬢さんの夢の中へ逃げ込み、お嬢さんは迷惑をしていた。苛々が限界まで達したところに、天使のおふたりが駆けつけた。そういったところで、宜しいですかね?」
神が話した内容は、この現状を把握していることを示していた。
それにしても。 「じゃあさ、今何をしなくちゃならないと思う?」
今度は晃くんが緩い声で尋ねる。 そう、今聞かなくてはならないことは。 「このお嬢さんに、説明をすれば良いのですよね?」 「そう、そうなのよ!」
思わず、合いの手を入れてしまった。 「ではでは、説明しますかね」
神が笑って、こちらに向き直った。 「その前にさ、手から降りてくれない? 重いや」
和やかな気分を壊していくエスコタの声。
萎え続ける気持ちを励ましつつ、神の話を待った。
悪魔ふたりを含めて、全員がその場に座り込んでいた。 「ではでは、今度こそ説明しますね。いやいや、その前にお嬢さんに謝っておきましょう。悪魔ふたりが迷惑を掛けてしまって、本当に申し訳御座いませんでした。いやぁ、何と言いますか。運が悪かったと思ってください」
理不尽な。 「それでですね、何故悪魔ふたりがお嬢さんの夢の中へ逃げ込んだかということです。それはですね、悪いことをしたのですよ。ちょっとね、逃げ出さないといけないようなことをしたのです。内容まで言っちゃって良いですかね、良いですよね。うん、良いことにしましょう。言っちゃいますよ」
ちらちらと悪魔ふたりを伺いながら、神が言葉を続ける。 「このふたりはですね、天使に手を出したのですよ。可愛らしい子がいましてね、その子をからかったと言いますか。その子は天使の中でも人気がありまして。アイドルって言えば良いのでしょうか。ですから、その子に手を出したことが露呈してしまった時に天使の殆どを敵に回してしまったのです。特に、そこにいるエスコタなんかはショックが大きかったようですね。アイドルに手を出した悪魔を処罰せよ、そういう運気が高まってしまいまして」 「誤解しないでね? 僕はその子が気に入っていただけなんだよ。それを向こうが勘違いしたんだ」 「俺だって同じだ。困ったような顔をしていたから、親切に声を掛けただけだ」
いきなり悪魔ふたりが弁明を始めた。 私とは別のことを思ったらしい、エスコタが声を上げる。 「醜いな、実に醜い! 彼女の涙を見ただろう。良心が痛まないのか、あれを見て」
身振り手振り、全身を使って悪魔ふたりを批難しているエスコタ。 「そうですよ、可哀想ではないですか。手を出したら、最後まで。きっちりしっかり、ぱきゃらまーお」
梅玉も批難に加わるが、よくわからない。
神がそう言って場を静める。 「ちょっと待って。そんなくだらない理由で逃げ込んだ先が、どうして私の夢の中でなければならなかったの? そもそも、夢に逃げ込むってどういう了見よ」
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